7.開発雑談

製作において

冒頭でも述べたとおり、「bwb_scale.h」の作者、青い白熊です。

投稿していたMML中にも何度かコード絡みのヘッダーを搭載させたことはありますが、
正式にヘルプと共に完全な形はこれが初めてとなります。

思えば、これを作ろうとしたきっかけはchord5.hへのジレンマからでした。
某みじんこ氏が作り上げたchord5.hは、
結構な数のサクラユーザーに影響を与えました。
ところがchord5.hを用いると、従来のKeyFlag+(cdfg)的な入力はできなくなり、
#KEY_Eと入力しても、それはドがミに4半音も上がったなかで入力する世界。
あらかじめキーを決めて望むタイプの私にはなかなか手になじみませんでした。

そして、UseKeyShift(off)の存在。
僕はPlayという命令を駆使したり、TrackSyncでまとめながら入力していく、
トラック単位の入力というより、セクションごとの入力をしていたものですから、
何度もUseKeyShiftのOn/Offを切り替えるのはあまりにも手間がかかりました。
(そして当時はその打開策が全く思いつかなかった。)

これらの理由から、自分用の調性ヘッダーを作ろうと決意しました。
最初はchord2.hのようなコードだけのシステムから、
だんだんスケールシステムもついたchord5.h型に変えていったのですが、
バッキングにおけるコードのベースやトップノート、
クローズやオープンのボイシング、和音一つ一つのベロシティへの配慮もし始めたため、
ヘッダーがあまりにも複雑化したので、
コード関連はユーザーが打ち込むものとして、
コードの自動入力システムはなくし、
完全にスケールだけのシステムに仕上げました。

ぜひ使いこなしてほしいです。


bwb_scale.hの本当の利点

マニュアルを通じて、bwb_scale.hの使い方を書いてきたわけですが、
bwb_scale.hを使うと得られる本当の利点とはなんでしょうか?

一つはスケール情報を、音符情報と別に管理できるということです。
詳細マニュアルの項でも述べましたが、
キーCにおけるE7→AmE7は、 主にハーモニックマイナー系スケールのIonian #5
メロディックマイナー系のスケールのLydian #5の 二つが考えられます。
これを作曲中に両方試そうと思ったとき、
bwb_scale.hがなければ、ベースラインやメロディなど、修正個所は数箇所にわたりますが、
bwb_scale.hを用いて記述しておけば、修正点は一つになります。
今回の場合はスケールの候補が主に二つですが、
ドミナント7thのコードを生み出すドミナント7thスケールで考えれば、(Mixolydianとかね。)
その候補はたくさんありますし、
スケールごとに、やはり修正個所が違ってくるので、
もう気軽に実験などもできないでしょう。
こういうときも、やはりbwb_scale.hを使っていれば、修正個所は一つです。

もう一つは毒々しい、複雑なメロディやソロを作るときに、
bwb_scale.hにあるたくさんの民族スケールなどが役立つということです。
もし、あなたが作るべきフレーズの目標が定まっていれば、
まずスケールを合わせてから、適当にリズムにのせて、メロディラインをなんとなく書いていけばよいのです。
そうすることで、そのメロディがあなたの目標を満たすものになるかもしれませんし、
また、満たすためのアイディアソースとして活躍してくれるでしょう。
特にソロのような音の移動が激しいフレーズでは、
本来不協和音として使いづらい音も経過音として使用が認められますので、
様々なスケールを使うことができます。
こういったとき、新たにスケールを覚えなおすのはめんどうくさい話ですが、
bwb_scale.hならコマンド一発です。
あとは、適当に音符を並べたあと、あなたの運指に合わせて、音符の調整を行うだけです。

最後にやはり転調の自由さでしょう。
転調というと何か思い切りのいいアレンジの手法と捕らえてる人もいるかもしれませんが、
前後の調とコードの関係を踏まえて、適切な調をおけば、
不自然さは解消され、前の調になかった音程をとりいれることで、
その曲に広がりを持たせることができます。
bwb_scale.hでは、KeyFlag(cdfg)のように作曲することもできますし、
chord5.hのようにキーをまるごと持ち上げて作曲することもできます。
さすがにchord5.hのように自動でコード進行を組み立ててくれるような
便利な機能はありませんが、
音楽の本質を理解するためにも、ここは一つbwb_scale.hで、
スケールの概念を意識しながら、コード進行を自らの手で並べてみてはいかがでしょうか?

私はこの3つのことを理由にbwb_scale.hを愛用しています。
いまいちbwb_scale.hの利用目的がわからないという人は
これを参考に、曲作りに役立ててみてはどうでしょうか?


参考にした文献、書庫、情報。


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